慢性腰痛症に対するフットケアの効果
慢性腰痛症には、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰椎椎体圧迫骨折、腰椎分離症などの脊椎および椎間板軟骨由来のもの、日常の動作や作業、スポーツなどによる疲労性(過労性)の筋・筋膜由来のもの、消化器系、循環器系、泌尿器系、生殖器系などの疾患による内臓由来のものがあります。大切なことは、まず医師の診察を受け慢性腰痛を起こす原因を特定することです。その上で、適切な医療を受けることが最善の方法であります。
では、フットケアの観点から、慢性腰痛に対して何ができるのでしょうか。実は、日常の動作や作業、スポーツなどにおいて、同じ動作をしているのに腰痛を起こす人と起こさない人がいることに着目すると、フットケアが慢性腰痛を改善する上で重要なポイントになることが分かります。即ち、外反母趾などの足の不安定要素が原因で起こる身体のアンバランスにより、過剰な衝撃や必要以上のねじれが腰部に集中する場合です。
外反母趾や指上げ歩きなどによる身体のアンバランス
靭帯性外反母趾や混合性外反母趾、外反偏平足などでは足先が外側へねじれることにより、下肢全体が外旋(外側にねじれること)し、股関節、骨盤、脊椎の間にゆがみやズレが発生します。これを放置すると股関節、骨盤、脊椎との間に構成される関節や筋、腱、靭帯などに物理的ストレスが持続的あるいは繰り返し作用するわけです。具体的には、例えば、左下肢の外旋により腰椎、骨盤の左回旋とそれに伴う骨盤の右下がり傾斜、腰椎の左側弯が起こります。
この場合は、左側の腰痛や坐骨神経痛が発生する確率が高くなります。また、指上げ歩き(ハンマートゥ性外反母趾など)やヒールストライクによる過剰な衝撃が腰部に集中したときは、腰椎の椎間関節や腰椎の椎体に過剰な負荷がかかり、腰椎椎間板症や椎間板ヘルニア、腰椎椎体圧迫骨折などの発生を促す原因となります。この様な身体のアンバランスを発生させる足の不安定要素を改善することが慢性腰痛症を回復させるポイントとなるのです。

繰り返されるあるいは持続的な負担による弊害
必要以上のねじれや過剰な衝撃による持続的あるいは繰り返しの負担は、筋肉や腱、靭帯、骨、軟骨などに物理的ストレスが蓄積され、その組織の耐久力や代謝が低下していきます(注1)。
組織の耐久力や代謝が低下すると、回復力が遅れ慢性化に至るわけです。また弱った筋肉や関節は新たな損傷を招きやすい状態になり、わずかな動作で思いもよらぬ事態になることもあります。
(注1):各組織の構成単位である細胞は、刺激に対する反射で活動しているのですが、持続的あるいは繰り返される刺激に対し、徐々に細胞の反応は鈍くなり(細胞膜電位の法則により反応閾値が上昇し、しまいには無反応となる)、細胞活動の低下による組織の萎縮、代謝障害を起こします。そのため組織の耐久力が低下するのです。
骨盤や脊椎から起こるアンバランス
慢性腰痛症を発生する原因のひとつに、骨盤や脊椎のアンバランスも考えられます。例えば、長時間の運転やデスクワーク、ゴルフや野球など片寄った動きの多いスポーツなどに多く発生します。これらの要因による骨盤や脊椎のズレや筋肉の疲労が蓄積されて、組織の耐久力や代謝が低下し、慢性化の一因となるのです。ですから、継続的外力を解除することが改善につながり、また慢性化を生じる確立も低くなります。
骨盤や脊椎のアンバランスを解除するには、体操療法による骨格バランスの矯正と筋肉や靭帯のストレッチによる関節の正常可動域の確保にあります。さらに、片寄った動作を修正あるいは固定具による矯正を行う必要もあります。
身体のアンバランスの改善
カサハラ式腰痛体操
腰痛を改善するポイントは、骨盤の上に腰椎をバランス良く乗せるように調整すると共に、人間の土台である足に対する正しい処置をしっかりと行うことです。以下に、最も効果的で簡単なカサハラ式腰痛体操を紹介します。
腰伸ばし運動(前後の歪みの調整)


初めは正座をしてから前に手を伸ばし骨盤と腰椎の間を伸ばすように行う
動物が本能的に行う自然矯正法で、この姿勢で伸びをする。 骨盤の上に腰椎がバランスよく乗ってきて、次の行動に備えられる。
膝かかえ運動(反りすぎた腰椎の調整)


初めは両膝を持ち、頭を上げ膝をひきつける。その体制で軽くローリングする。
反りすぎている腰椎を、腹圧を高めることにより、正常位置に押し戻すことができる。 両膝をしっかり抱え込み、ぐっと引きつけて2~3分耐えるようにがんばる
捻転運動(左右の歪みの調整)


仰向けになり片膝を立てる。次に立てた膝を反対側にもっていき、上半身は膝とは逆側にゆっくりひねる。
骨盤とその上に乗る上半身の片寄り、左右のねじれを戻し、骨盤と腰椎および胸椎下部の調整ができる。 仰向けの状態で膝を曲げ、上半身と下半身を相反する方向へひねる。左右交互に繰り返すとよい。
逆捻転運動(ねじれと左右の歪みの調整)


片膝を立てたらその脚を外側に倒し、上半身を丸めて脚を倒した側に向く。反対の脚を骨盤と共に上半身とは逆方向に捻る。
骨盤とその上に乗る上半身の片寄り、左右のねじれを戻し、骨盤と腰椎および胸椎下部の調整ができる。 仰向けの状態で膝を曲げ、上半身と下半身を相反する方向へひねる。左右交互に繰り返すとよい。
開脚運動(股関節の調整)


両足の裏を合わせて身体の方へ引き寄せる。背筋はしっかり伸ばし、胸を下につけるように前屈する。
大腿骨頭と股関節のズレを調整し、股関節の柔軟性を高め、その上に乗る骨盤の安定を保つことができる。背筋を伸ばしながらゆっくり前屈し、その位置で2分前後止める。前屈しにくい人は両膝を上下にゆさぶるように動かすとよい。
そんきょ運動(股関節と骨盤の調整)


脚を肩幅よりも大きく開き、腰を落とすように膝をまげて、両膝に手をあて、背筋を伸ばしたまま左右にひねる。
股関節、骨盤、腰椎のバランスを調整する。 相撲のように瞬間的な激しい動きをする前には欠くことのできない準備運動です。両膝に手を置き、背筋を伸ばしながら両脚をできるだけ開くようにする。左右交互にゆっくり伸ばすようにひねる
カサハラ式コルセットの勧め
骨盤や脊椎のアンバランスは、その基盤となる仙腸関節にあります。仙腸関節に起こったズレや歪みを修正し、骨盤や腰を安定させるために、カサハラ式コルセットでは上下左右に各1本、合計4本のアジャストベルトを配しています。このアジャストベルトの調整により左右のアンバランスとねじれのアンバランスを修正・保持します。
また、前後の歪みと衝撃吸収力を高めるために、アルミステイとサクラムパット(仙骨パット)を装備しています。 上記の腰痛体操で骨盤や腰の歪みを修正し、カサハラ式コルセットでその保持をすることで腰痛の改善効果が飛躍的に上がります。
足のアンバランスの修正
靭帯性外反母趾、混合性外反母趾、外反偏平足、O脚などではねじれのストレスが発生しやすく、仮骨性外反母趾、ハンマートゥ性外反母趾などの指上げ歩き、反張膝(ひざが後ろに反っているタイプ)などでは、衝撃性のストレスが発生します。これらは、外反母趾用のサポーターやカサハラ免震インソールなどの使用によりそのストレスを和らげる必要があります。
特に椎間板症や椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎すべり症、腰椎椎体圧迫骨折、変形性脊椎症など軟骨や骨由来の腰痛には、カサハラ免震インソールが特有の免震効果を発揮し、腰の負担を軽くします。尚、外反母趾や足の不安定要素の詳しい改善法は、自宅でかんたんフットケアのトップページから、該当するページを参考にしてください。
サプリメントの活用
関節を形成する靭帯、軟骨や関節運動にかかわる腱などの組織は、その構成成分の重要な要素にグルコサミンが存在します。グルコサミンはアミノ糖といわれる糖タンパクの一種で主に結合組織の細胞間質に存在します。不足すると関節や腱・腱鞘などは非常に弱くなり関節の変形や炎症を引き起こす一因となります。
また、体内でグルコサミンを硫酸化し、コンドロイチン(軟骨を形成する主成分)を生成するためにビタミンCが使われます。ストレスや運動あるいは仕事や日常の作業で1日に相当量が消費されるビタミンCは不足すると関節や肌の形成やみずみずしさなど様々な部分に影響をあたえます。
筋・骨格器系を原因とした慢性的痛みや疲労による脆弱化に対し、これらの成分が含まれるサプリメントを摂取することがとても有用であることがわかると思います。しっかりした改善法を行うことで、摂取したグルコサミンが有効に吸収・活用されるように活性化されるのです。サポーターやコルセットなどの矯正・固定と腰痛体操やグーパー運動などによる物理的効果に加えて、サプリメントによる科学的効果を取り入れればその成果も向上します。
尚、変形性関節症などの関節炎や慢性関節リウマチの方には体内で生成することのできない必須脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)も有効成分として知られています。この成分は、同様に必須脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)とともに、イワシ、サンマ、マグロなどで摂取することが可能です。









