自宅でケアする急性腰痛症
医師の診察を要するケース
主に外傷により起こるもので物理的原因(転んだ、捻った、しりもちを突いた、重いものを急に持ち上げたなど)がはっきりしている腰痛症では症状により以下の場合があります。
筋・筋膜性腰痛症、脊柱起立筋または腰方形筋の肉離れ、いわゆる腰椎捻挫による腰椎周囲の靭帯損傷、腰椎椎間板症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎すべり症、腰椎圧迫骨折、腰椎棘突起骨折、腰椎横突起骨折など
これらの急性外傷性腰痛症は、患部の痛みがある程度改善するまで安静・固定が必要となり、またヘルニアや骨折などの重傷では医師の管理下における治療も大切です。この様なケースでは、最寄の整形外科医や柔道整復師に診察してもらうことが第一です。
外傷性以外(物理的原因の無い)の急性腰痛症では、内臓などの疾患が原因で発生する場合があるので医師の診察を必要とします。目安として以下の事項を参考にしてください。
- 腰痛の感じる部位がわき腹に近い(痛みはかなり強いことが多い)・・・尿管結石、腎臓障害
- 腰痛の感じる部位が右背中よりで、身体の中が腫れているような感じ・・・肝臓疾患、胆石など
- 腰痛の感じる部位が左もしくは真ん中の背中より・・・胃・十二指腸・すい臓障害(これらの場合お腹のみぞおちのあたりも痛くなる)
- 腰部全体が重苦しくお腹も痛い・・・腸内にガスがたまっている(お腹の痛む箇所は移動する)、便秘、下痢、慢性盲腸など
- 骨盤のあたりと下腹部が痛い・・・子宮筋腫、子宮内膜炎、脱腸など(女性生殖器の障害の場合出血異常なども伴う)
- 左側の腰痛や坐骨神経痛があり、前かがみになってお腹を圧迫すると痛みが憎悪する。または、あしがむくみ左足がしびれたり痛くなる。少し歩くと脚が前に出なくなり休むとまた歩けるようになる。・・・腹部大動脈瘤など
以上のようなケースだと緊急を要する場合が多いので様子をみるよりも直ちに医師の診察を受けるべきです。
自分でできること
フットケアの観点から急性腰痛症を対照としてみる場合に重要視すべき点は、一度治ってもまた同じ外傷性腰痛症を発生する場合(反復性)やとても急性腰痛症を起こすとは思えないようなわずかな動作(例えば咳やくしゃみ、椅子から立ち上がっただけなど)で発生する場合などが考えられます。この様な繰り返される急性腰痛症やほんのわずかな動作で起こる急性腰痛症では、日常生活や作業環境などにおいて片寄った姿勢を強いられる場合や無意識に不均衡な姿勢をしている場合があります。そして、後者の場合は、土台である足のアンバランスもしくは骨盤や脊椎の変形やズレによるアンバランスが原因となっている場合がほとんどです。これらの対策について以下に解説していきます。
反復する原因
例えば、左側のぎっくり腰ばかりよく起こすなどのケースで考えられるのが、左足が股関節から足先まで全体的に外側へねじれている場合です。この足のねじれは、股関節を外側に開かせるために骨盤の左側が前傾し右に比べて骨盤の位置が高くなっています。そのねじれ(トルク)は腰椎の椎間関節や左側の筋群(脊柱起立筋や腰方形筋など)に伝わり、ねじれの力の終末点と反作用して体のバランスを取ろうとする基点との境界部分でストレスが最大となるのです。簡単に言えば、同じ物理的ストレスが同じ箇所に常に作用しているために同じ障害を発生するということです。
この様な反復性の場合、その原因となる身体のアンバランスを修正しなければ根本的解決になりません。
足から起こるアンバランス
身体の基礎(土台)は、地面との接点である足にあります。この足の不安定要素(外反母趾などの足の変形)の存在が、基礎の上にある身体のアンバランスを生じます。このことからもわかるように、足の異常を有する人には、足の不安定要素を改善あるいは修正することが根本的治療につながるわけです。
足の不安定要素には、外反母趾、指上げ歩きが最も多く見られ、その他に先天的形成異常や外脛骨、変形性足関節症、偏平足などの後天的形成異常があります。外反母趾や指上げ歩きの場合は、サポーター等による矯正とグーパーリハビリ(外反母趾編を参照してください。)を積極的に行うことが重要です。また、その他の形成異常では、インソールの使用による「過剰な衝撃」と「必要以上のねじれ」の除去が重要になります。
骨盤や脊椎から起こるアンバランス
急性腰痛症を発生する原因のひとつに、骨盤や脊椎のアンバランスも考えられます。例えば、長時間の運転やデスクワーク、ゴルフや野球など片寄った動きの多いスポーツなどに多く発生します。これらの要因による骨盤や脊椎のズレや筋肉の疲労がその耐久力の限界近くまで蓄積されていくと、あとわずかな外力(咳やくしゃみ、中腰姿勢、椅子から立ち上がるなど)で腰痛が発生してしまうのです。ですから、急性腰痛症でも、その前段階からの継続的外力を解除することが予防につながり、また繰り返し生じることもなくなるわけです。
骨盤や脊椎のアンバランスを解除するには、体操療法による骨格バランスの矯正と筋肉や靭帯のストレッチによる関節の正常可動域の確保にあります。さらに、片寄った動作を修正あるいは固定具による矯正を行う必要もあります。
身体のアンバランスの修正
腰痛を改善するポイントは、骨盤の上に腰椎をバランス良く乗せるように調整すると共に、人間の土台である足に対する正しい処置をしっかりと行うことです。以下に、最も効果的で簡単なカサハラ式腰痛体操を紹介します。
カサハラ式腰痛体操
腰伸ばし運動(前後の歪みの調整)
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初めは正座をしてから前に手を伸ばし骨盤と腰椎の間を伸ばすように行う。
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動物が本能的に行う自然矯正法で、この姿勢で伸びをする。
骨盤の上に腰椎がバランスよく乗ってきて、次の行動に備えられる。
膝かかえ運動(反りすぎた腰椎の調整)
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初めは両膝を持ち、頭を上げ膝をひきつける。その体制で軽くローリングする。
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反りすぎている腰椎を、腹圧を高めることにより、正常位置に押し戻すことができる。
両膝をしっかり抱え込み、ぐっと引きつけて2~3分耐えるようにがんばる。
捻転運動(左右の歪みの調整)
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仰向けになり片膝を立てる。次に立てた膝を反対側にもっていき、上半身は膝とは逆側にゆっくりひねる。
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骨盤とその上に乗る上半身の片寄り、左右のねじれを戻し、骨盤と腰椎および胸椎下部の調整ができる。
仰向けの状態で膝を曲げ、上半身と下半身を相反する方向へひねる。左右交互に繰り返すとよい。
逆捻転運動(ねじれと左右の歪みの調整)
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片膝を立てたらその脚を外側に倒し、上半身を丸めて脚を倒した側に向く。反対の脚を骨盤と共に上半身とは逆方向に捻る。
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特に前内方にねじれた骨盤と腰椎の歪みを回復する。
仰向けの状態から片膝を立て反対側の手で膝を押さえ、外側に開くようにする。片方の下肢は伸ばしたままで、上半身は丸めながらそれぞれ相反する方向にゆっくりひねり、約30秒止める。
開脚運動(股関節の調整)
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両足の裏を合わせて身体の方へ引き寄せる。背筋はしっかり伸ばし、胸を下につけるように前屈する。
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大腿骨頭と股関節のズレを調整し、股関節の柔軟性を高め、その上に乗る骨盤の安定を保つことができる。
背筋を伸ばしながらゆっくり前屈し、その位置で2分前後止める。前屈しにくい人は両膝を上下にゆさぶるように動かすとよい。
そんきょ運動(股関節と骨盤の調整)
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脚を肩幅よりも大きく開き、腰を落とすように膝をまげて、両膝に手をあて、背筋を伸ばしたまま左右にひねる。
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股関節、骨盤、腰椎のバランスを調整する。
相撲のように瞬間的な激しい動きをする前には欠くことのできない準備運動です。両膝に手を置き、背筋を伸ばしながら両脚をできるだけ開くようにする。左右交互にゆっくり伸ばすようにひねる。
カサハラ式コルセットの勧め
骨盤や脊椎のアンバランスは、その基盤となる仙腸関節にあります。仙腸関節に起こったズレや歪みを修正し、骨盤や腰を安定させるために、カサハラ式コルセットでは上下左右に各1本、合計4本のアジャストベルトを配しています。このアジャストベルトの調整により左右のアンバランスとねじれのアンバランスを修正・保持します。また、前後の歪みと衝撃吸収力を高めるために、アルミステイとサクラムパット(仙骨パット)を装備しています。
上記の腰痛体操で骨盤や腰の歪みを修正し、カサハラ式コルセットでその保持をすることで腰痛の改善効果が飛躍的に上がります。また、外傷性の急性腰痛症の固定具としても効力を発揮します。尚、笠原接骨院では、腰痛の固定としてさらし包帯を骨盤にしっかり巻き、その上からコルセットの装着をする方法を指導しています。この方法により固定力が一段とアップし、受傷初期のひどい痛みにたいする固定としてとても効果を上げています。
*カサハラ式コルセットのご案内はこちら
足のアンバランスの修正
靭帯性外反母趾、混合性外反母趾、外反偏平足、O脚などではねじれのストレスが発生しやすく、仮骨性外反母趾、ハンマートゥ性外反母趾などの指上げ歩き、反張膝(ひざが後ろに反っているタイプ)などでは、衝撃性のストレスが発生します。これらは、外反母趾用のサポーターやカサハラ免震インソールなどの使用によりそのストレスを和らげる必要があります。特に椎間板症や椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎すべり症、腰椎椎体圧迫骨折、変形性脊椎症など軟骨や骨由来の腰痛には、カサハラ免震インソールが特有の免震効果を発揮し、腰の負担を軽くします。尚、外反母趾や足の不安定要素の詳しい改善法は、自宅でかんたんフットケアのトップページから、該当するページを参考にしてください。
サプリメントの活用
関節を形成する靭帯、軟骨や関節運動にかかわる腱などの組織は、その構成成分の重要な要素にグルコサミンが存在します。グルコサミンはアミノ糖といわれる糖タンパクの一種で主に結合組織の細胞間質に存在します。不足すると関節や腱・腱鞘などは非常に弱くなり関節の変形や炎症を引き起こす一因となります。また、体内でグルコサミンを硫酸化し、コンドロイチン(軟骨を形成する主成分)を生成するためにビタミンCが使われます。ストレスや運動あるいは仕事や日常の作業で1日に相当量が消費されるビタミンCは不足すると関節や肌の形成やみずみずしさなど様々な部分に影響をあたえます。筋・骨格器系を原因とした慢性的痛みや疲労による脆弱化に対し、これらの成分が含まれるサプリメントを摂取することがとても有用であることがわかると思います。
しっかりした改善法を行うことで、摂取したグルコサミンが有効に吸収・活用されるように活性化されるのです。サポーターやコルセットなどの矯正・固定と腰痛体操やグーパー運動などによる物理的効果に加えて、サプリメントによる科学的効果を取り入れればその成果も向上します。
尚、変形性関節症などの関節炎や慢性関節リウマチの方には体内で生成することのできない必須脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)も有効成分として知られています。この成分は、同様に必須脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)とともに、イワシ、サンマ、マグロなどで摂取することが可能です。