少なくとも成人女性の、3人に2人に"足の異常"があると言っても過言ではありません。代表的なのが『外反母趾』と『指上げ足(浮き指)』です。そして、このような人たちのほとんどに、ひざ・腰そして首などの慢性痛のほかに、首を痛めたことで自律神経失調に伴う、頭痛・肩コリ・うつ・めまい・パニック症・不眠症など様々な症状が見られるという事実があるのです。
外反母趾は親指が小指側に曲がっているため、外見から判断しやすいのですが、もうひとつの『指上げ足(浮き指)』は足指が反り返っていたり、縮こまったりしているため、ぱっと見ただけでは分かりづらいのです。これが自分の足の異常になかなか気付かなかった理由でもあります。医師や治療家も痛むところだけを診て、人間の一番重要な部分となる土台、基礎にあたる足を診るというところは、日本中どこの医療機関を訪ねてもないと思います。
『足(人間の土台)から上部を診る』という考えが浸透していないため、一般の人にまで情報が伝わらず、痛みや体調が悪くてもその痛いところや不調なところだけを診て、足には目がいかないのです。足への関心が薄いということが問題なのです。繰り返しますが、家が傾いたら土台や基礎から見ていくという考えと同じように、人間も『土台から診ていく』というこの当たり前な見方が必要だったのです。
生命医学や遺伝医学においては、著しい発展・進歩を遂げ驚嘆するほどですが、これとは逆に患者さんの90%以上を占める、"負傷の瞬間を特定できない"首の痛み"や"自律神経失調症状""うつ"に対しては、私が開業した30年前と比べても進歩するどころか、逆に低下さえしているように思えるのです。
重力の支配下にある人間である以上、その重力とのバランス(調和)を最も多くコントロールしているところが『足裏』であり、健康や美、そして予防医学は"土台"から考えていくことが自然なのではないでしょうか。
指上げ足(浮き指)の特徴は、指の付け根が大きく発達して、指が地面に接地しない足。
図のように、親指を甲側に押すと上に90度以上反ってしまう。